新しい文化人形
今回「春」展に出品するにあたって製作したのは文化人形です。
以前より作りたかったスタイルのいい文化人形です。全長はブリムを含めて30センチ。
洋服に使った生地はいただきものの着物のはぎれです。
はぎれなので小さいものが多く、そのためはぎ合わせて作りました。苦心の結果、かえって面白い柄合わせになったのではないかと思います。
首周りに使用しているレースはベルギー製。
父が以前旅行に行ったときにリクエストしてお土産で買ってきてもらったものです。蝶が編み込まれています。
スカートのベルト部分に使用しているのは骨董市で購入した羽織紐です。
かわいくてたくさん買ったはいいけれどずっとしまいっぱなしでいました。埃っぽかったのでやさしく洗濯をしています。
洋服は着せ替えは出来ませんが、モモリータ先生の型紙教室に通ったおかげで体にぴったりの服を作ることができました。
名前は「ほのか」と言います。
展示会に出品したり委託をお願いするときにはその人形の名前を考えるのに悩みます。
個人名称のような名前をつけることはほとんどなかったのですが、テーマの「春」に対して考えた結果、この名前が浮かびました。
うららかな春を思わせるような、「ほんのりした子」をイメージしました。
そしてもう二体。
こちらは名前を「まりこ」と言います。
「ほのか」とは違い、明るくおもちゃの毬のようなイメージで作りました。
「ほのか」も「まりこ」も今までとは違った目の描き方をしています。
今までは昔ながらの文化人形を意識しつつ、きっちりはっきりとした目を描いていましたが、ここ数年の私の試みである、「粗さ(あらさ)」に挑戦しています。
なんでしょう、「雑(ざつ)」とは違った、「臨場感」とでも言いましょうか。
なかなかうまく言い表せませんし、それがすべてにおいて成功しているとも言えませんが、小さな試みです。
ドールワールドリミテッド2017
今週末日曜日、ドールワールドリミテッドが開催されます。
《一箱人形市》とあるように通常開催とは違い、半分のスペースでの販売となります。
今回新作を作ることは出来ませんでしたが、ずっと委託先に預けていた人形たちを連れて行く予定です。
こちらは骨董市で買い求めたモダンな着物地を使用しての文化人形です。
2012年の製作です。このころようやく自分の好きなように作ってもいいんだという自由さを得ることが出来ました。個人的にはとても好きな顔なのですが、なかなか出会いには恵まれません。
ずっと箱に入れてしまってあるのでずっときれいです。
久々に箱から出して、自分で作ったものなのに胸がときめいてしまいました。
以前、文化人形を購入したお客様から、部屋に飾っておいたらいつの間にか変色してしまったんですけど、というお話をいただきました。
製作の際には濡れタオルを横に置いて常に手を清潔に保つよう努力しています。
しかしながら布を材料としているがゆえにどうしても日光に当たる場所に飾っていると、色褪せはもちろん、いつの間にかついてしまった人間の脂が経年劣化として出てきてしまうのでしょう。
お気に入りのものほど常に目に入る場所においておきたいのに。
そのお客さまもベッドの上に飾っていたとのことでした。お話を聞いて私はありがたいやら申し訳ないやらという気持ちになりましたが、悩ましいことですよね。
本当に申し訳ないのですが布作品の経年劣化は避けられないのです。
私が古い布地や、最初から傷んでいたり汚れていたりする布地を好んで使うようになったのはそのお客様のお話を聞いてからです。
以前はアンティークの布地にそれほどの魅力は感じなかったのですが、傷みや汚れ、人の手を渡ってきたことから変化してきたものに対する見方が徐々に変わってきました。
こちらの白い文化人形はヨーロッパのアンティークの布を一部に使いつつ、現行品の生地を組み合わせて服を作っています。ブリムに使用しているピンク色の生地は着物の裏地に使われていたものです。裂けやすい薄い絹地を、裂いて縫い付けることで味わいを出しています。
リボンも黄色いモスリンとランダムに縫い合わせて作っています。
こちらの人形のリボンはコットン生地を裂いたものをリボンにしています。
古い生地を生かすため、元気な現行品の布地とどう組み合わせるかに苦心しています。
最初から古い生地や荒々しく裂いた布を使用することで、経年劣化によるがっかり感を軽減できるような気がしているのです。
むしろ、古びていくものを愛そうという開き直りなのかもしれません。
さてこちらは以前、企画展で製作したチョコレートをテーマにした小さめの文化人形です。
フェルト生地を丸く形作ったマカロンは小さな針山として使用することが出来ます。
携帯用のお針箱にコロンと加えるととてもかわいいです。
クリスマスセールとしてお安く提供させていただきますのでぜひ今週末の日曜日には、浅草都立産業文化センターまで足をお運びくださいませ。
ドールワールドフェスティバル2017
参加イベントのお知らせです。
毎年出展している「ドールワールドフェスティバル」が今年も浅草で開催されます。
来週の6/17(土)と18(日)の二日間です!
蛾のブローチ、人形チャームのほかに豆乙女人形を持っていきます。
全長4.5センチです。
去年は4.0センチになるようこだわっていたんですが、ちょっと頭身が伸びましたね。
インスタグラムの画像がでかくて恥ずかしいっすね!
↑この子はシルクの服を着ています。
染花を持たせていますが両腕を糸で縫いとめたところに差し込んでいるだけですのでポロリと落ちます故ご注意!
これくらいのサイズの人形をはじめて作ったのが2012年なのでもう6年目になるのですね。作り方も少しずつ変わって来ました。
何回か作るうちに「こうすればよかったんだ~」という発見も多々あり、今年はずいぶんさくさくと作ることが出来ました。
小さいので去年はまとめて写真に撮ってしまいましたが今年は一体一体撮ってみたり。
まだまだ続きます。
春のお出かけ人形
「春」のテーマに合わせて今回作ったのは「一緒にお出かけ人形」です。
バッグからぶらさげられる人形チャーム、それと蛾のブローチを製作しました。
羽根にはオレンジと緑の模様がかっこいいジャガード織の生地を使っています。
黄色いクロメンガタスズメ。
オレンジ色の古い着物地はお気に入り。クロメンガタスズメの特徴的なドクロマークは羊毛を刺しています。
青いウスタビガ。さわやかな青いツイード生地に銀色のボタンをつけました。
人形チャームの大きさは全長16センチ。
けっこう存在感があります。
ミシンでパーツを縫いとめた、半立体の人形です。
こちらは色違いの青いワンピース。
ウサギの人形のチャーム。にんじんのバッグをぶら下げています。
バッグは糸で縫いとめてあるのでひっかけない限りは大丈夫です。
頭と体には古布を使用しています。
こちらは猫。足に使っている別珍もアンティークで売られていたものを使用しているのでところどころはげています。
切りっぱなしで糸がほつれていたり、別素材の糸で補修がしてあったり、粗い刺繍の糸目の面白さなどを楽しんでいただければ幸いです。