新しい文化人形
今回「春」展に出品するにあたって製作したのは文化人形です。
以前より作りたかったスタイルのいい文化人形です。全長はブリムを含めて30センチ。
洋服に使った生地はいただきものの着物のはぎれです。
はぎれなので小さいものが多く、そのためはぎ合わせて作りました。苦心の結果、かえって面白い柄合わせになったのではないかと思います。
首周りに使用しているレースはベルギー製。
父が以前旅行に行ったときにリクエストしてお土産で買ってきてもらったものです。蝶が編み込まれています。
スカートのベルト部分に使用しているのは骨董市で購入した羽織紐です。
かわいくてたくさん買ったはいいけれどずっとしまいっぱなしでいました。埃っぽかったのでやさしく洗濯をしています。
洋服は着せ替えは出来ませんが、モモリータ先生の型紙教室に通ったおかげで体にぴったりの服を作ることができました。
名前は「ほのか」と言います。
展示会に出品したり委託をお願いするときにはその人形の名前を考えるのに悩みます。
個人名称のような名前をつけることはほとんどなかったのですが、テーマの「春」に対して考えた結果、この名前が浮かびました。
うららかな春を思わせるような、「ほんのりした子」をイメージしました。
そしてもう二体。
こちらは名前を「まりこ」と言います。
「ほのか」とは違い、明るくおもちゃの毬のようなイメージで作りました。
「ほのか」も「まりこ」も今までとは違った目の描き方をしています。
今までは昔ながらの文化人形を意識しつつ、きっちりはっきりとした目を描いていましたが、ここ数年の私の試みである、「粗さ(あらさ)」に挑戦しています。
なんでしょう、「雑(ざつ)」とは違った、「臨場感」とでも言いましょうか。
なかなかうまく言い表せませんし、それがすべてにおいて成功しているとも言えませんが、小さな試みです。